クリスチャンおじさん

 
前の前の仕事は埋蔵文化財調査といって建物を新しく建てる時にその土地の地下に過去の遺物などが残っていた際の発掘調査の仕事(アルバイト)をしていました。
 
 
 
地面掘ったら蔵の基礎とか江戸時代のじゃり道、下水施設(木でつくった筒)、石垣、漆塗りの椀、箸、下駄、かんざし、汲み取り便所、井戸、郊外では石器とか出てくるので仕事自体はめちゃくちゃ楽しかったんですが給料が時給900円で作業が天候に左右されやすく休みが多かったので1年で辞めてしまいました。
 
そこで半年くらい働いていた時に入ってきた新人の50歳位のおじさんはクリスチャンでした、作業しながら雑談で「じゃあ通ってた学校もミッション系の学校とかですか?」と聞くと「ミッション系ってなんですか?」と返されてしまった
 
 
 
よくよく話を聞くとキリスト教に入信したのは最近で毎週信者の人たちとご飯を食べに行くらしく「若い女の子とかたくさんいるんですよ〜」と自慢げに話してた、それで気が大きくなっているのかわからないがバイトの若い女性を裏でめちゃくちゃご飯に誘っていたらしい
 
そのおじさんは全く仕事ができなかったが汗は人一倍かいていた
 
その1ヶ月後におじさんは急に仕事が決まったらしく「今日で最後になります、しゃちく君、短い間でしたがお世話になりました!」と元気よく最後の挨拶をしてお別れをした、 「(爽やかで笑顔が素敵な人だったな、50歳でアルバイトしてるからマジで仕事が出来なくてこういう状況に陥ってたのかと思ったけど違ったんだな〜)」と思いました
 
 
 
 
その3日後の朝現場に行くと普通に休憩所にいた
 
社員の方から「なんにも聞かないであげて」と言われた
どうやら決まった仕事を2日でクビになったらしい。
 
おじさんは信者の若い女の子達とご飯を食べている話とフェイスブックを毎日更新していて寝る暇が無いという話しかしないので爽やかで笑顔が素敵なのだが周りの方達もどんどん距離を取るようになってきてどんどん孤立していった、同期のおじさんたちは本職が忙しくなったから(自称海外でユニクロの袋のデザインをしている人とかフリーのデザイナーが暇つぶしで珍しいアルバイトをしていた)どんどん退職していきクリスチャンのおじさんは昼食時の話し相手すら居なくなった。
 
 
そのあと現場が変わって会っていないのだがいまだに元気にフェイスブックを更新していると思う。
 
 
 
 
 
 
いまの職場にも別の会社の人だけどマジでヤバい50歳のおじさんがいる、携帯が無い!と言って同じ会社の人たちに探すの散々手伝って貰った挙句カバンの中にあったという珍事を1日通をしてやっていた(「もーしわけ、ございま、せんでした」と本人は至って真面目だがふざけた謝り方をしていたので再度怒られていた)、お金が無いのかわからないけど昼食が2リットルのペットボトルに詰まったベビースターラーメンをザラララッ バリバリバリと食べていた(財布を無くしたらしい)、「話がつまらなすぎる」と20代の社員に注意されている、 フェイスブックを更新するのが忙しいと話している、仕事が出来ない。
 
 
そのおじさんは日雇い労働者で駅から現場までの片道40分の道のりを歩いて帰っている(社員は車)バスは出ているがそのバス代すら節約してお酒を飲むらしい、そのおじさんを横目に見ながら僕も車で帰っている。
 
 
 
 
 
 

未開の女

 
現場仕事をしていると色気がある男性が結構居る
 
テレビで特集されていたのだが危険な仕事をやっている人は生命の危機に瀕していると脳が感じて遺伝子を残す為に異性を寄せるフェロモンを出すらしい。現場仕事をしている男性はなぜか全員カッコいいし朝からカップラーメンを食べてるのに体臭も臭くない、
その中で独特の雰囲気を持っていて自分が女性ならこういう男性を好きになるんだろうな、と思う人が今の現場に3人居る、10代の少年、30代の中年、70代のおじいちゃん、それぞれ独特の雰囲気、人相、姿勢からその人の性格、生きる姿勢みたいなものが滲み出ていてたまらなくカッコいい、モロタイプ。
 
 
10代の少年

職業 : 電気屋

屋内で電線を張ったりコンセントを取り付けたりする仕事をしている。 とにかく顔が小さく体が細い身長は160cmくらい、顔だけ見ればまだ高校2年生くらいの少年でクラスに居たら確実にモテるし絶対に綺麗な顔のサッカー部員をやっていると思う、おそらく中学卒業後この仕事を始めたのか?と思うくらい現場慣れして落ち着いているし普通に仕事も1人任せられてやっている、会社指定の赤いラインが入ったピタッとした黒いツナギを着て顔が小さいせいで大きく見えるヘルメットと体が細い為にデカく見える安全帯とそこに仕事道具をいくつも下げていて 〝細身にゴツい道具〟という女の子とベースみたいなギャップ?がまた堪らないしカッコいい。
これから何十年かするとさらに雰囲気も表情も姿勢も深みが出てきてさらにイイ男になるだろうなと思う。
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30代の中年

職業 : 配管屋?

仕事は重機で地面を掘って配管や暗渠(あんきょ)を設置して埋める仕事をしている。
顔も雰囲気も服の着こなしも中国のイケメンホームレスにそっくり

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とにかく超かっこいいし雰囲気もよく仕事している顔も超かっこいい、その人が通ったり作業していると目で追ってしまうくらいかっこいい、全身の力が抜けているような歩き方をする人なのだがなぜか力強さを感じる、漫画「ロトの紋章」の蜃気楼の塔で修行をしていた疲労困憊のキラが無駄な力が抜けボロい剣で水晶を切ったエピソードを思い出す。上下黒の作業着に(黒が似合う)スニーカータイプの安全靴を履いて分厚いソックスにズボンの裾をインしているのがこんなに似合う人なかなか居ないなと思うぐらいそのスタイルがハマってる、こういう人は風俗やキャバクラに行くのか?一人の女を大事にするのか?携帯ゲームに課金するのか?休日は山に登ったりするのか?このタイプの人は周りにあまり居ないのでのデータが無く生活感がいろいろ予想ができないし近寄りがたい雰囲気のためもうちょっと観察する予定だ。

 

 

 

 

70代のおじいちゃん

職業 : 大工

施設内の木仕上げ、建具などを作る仕事をしている70代ぐらいのおじいちゃん。初めて見たときから思ったのは天皇に似ている。

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今上天皇  明仁(あきひと)様に雰囲気も顔も背中の丸みも身長まで似ていて、とにかく毎日笑顔で色んな職業の人と楽しく笑いあって仕事をしている、いつ見ても屈託のない笑顔をされているので初対面でもこちらの本能的な警戒心を簡単に解いてしまうとても親しみやすい不思議な人である。たまに話しかけて下さるのだがやはりとても深みのある笑顔をされて物腰もとても柔らかい、話し方も丁寧なお方で冗談も言う。もしかしたら若い頃からずっとこういう生きる姿勢で人生を歩まれて現在に至っているのかもしれない、さぞ女性にモテただろうし奥様も美人だと思う。本物の天皇のカッコよさ、雰囲気や色気はこのおじいちゃんの何倍もあるかもしれないがそれでもこんな凄いカッコ良い雰囲気を持ったおじいちゃんを近くで見れて話せる事だけで大満足である。




いろいろな人を見てて思うのだが体の力が無意識的に抜けているような立ち姿の人は落ち着きがあってカッコいいし仕事も出来ると思う、あとハゲてない。

それだけは真似してなれるものじゃなくて育った環境や生まれ持った性格がうまく組み合わさって出来上がると思う、そういうとこに自分の女性性が惚れているのかもしれない。

 

 

 

金の卵

 

両親は共働きで子供の頃からひとつ上の兄貴といつも一緒に居させられた、僕は兄貴の奴隷だったので何か兄貴の癪に触ると殴られた、人前だろうとぶん殴られた、そのおかげでいまだに後頭部の左側は隆起していて仕事でヘルメットをかぶるとだんだんヘルメットが斜めを向いてくる

 

何をするにも兄貴の言いなりで自分の感情を外に出せず小学校も中学校も友達があまりいなかった

中学3年の時に兄貴が高校の寮に入ることになった 

高校1年の時に兄貴が寮で同級生の財布から金を盗んでいたという話を聞いたが特に何も思わなかった

 

そのまま21才くらいまで何も考えずに生きて昔を振り返っても楽しかったことや思い出とかがゴッソリと何も無い 自分は何にも興味が無いし好きなものも特に無い もしかしたら人を殺しても何も感じないんじゃないか、と思った

 

生まれ育った地元も昨日引越してきた人みたいな違和感、星新一の「地球から来た男」のような気分で毎日を過ごしていて嫌だったのでなんとなく東京に移住した



 

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東京に引っ越してよかったなと24歳で思った。


蝉のお宝

 

他に仕事が残ってるのに先輩が自分の使ってたバケツを洗っとけと言ってきて仕方なく残業して洗ってあげたら定時に先に帰りやがったので先輩の机に置いてある食べかけのかりんとうを全部食べてやった、美味しかった。

 

仕事が終わっても手を顔に近づけた時にゴム手袋の匂いが脳に伝わるのが一番嫌だ

 

 

 

左官屋は将来的に食えなくなると先輩たちは話している、入って半年の僕は頑張る気持ちが9割減った、ボード屋とか塗装屋とか削り屋さんとかはかなり給料が良いらしい、多分将来的に扱う材料が変わるだけだと思うから仕事を覚えたら一生働けるし定時に上がれる

 

 

大工になりたい。